いいおじいさんの話

いいおじいさんの話 小川未明 美うつくしい翼つばさがある天使てんしが、貧まずしげな家いえの前まえに立たって、心配しんぱいそうな顔かおつきをして、しきりと内うちのようすを知しろうとしていました。 外そとには寒さむい風かぜが 続きを読む…

ああしんど

「ああしんど」 池田蕉園 よっぽど古いお話なんで御座ございますよ。私の祖父じじいの子供の時分に居りました、「三さん」という猫なんで御座ございます。三毛みけだったんで御座ございますって。 何でも、あの、その祖父じじいの話に 続きを読む…

ああ玉杯に花うけて

ああ玉杯に花うけて 佐藤紅緑 豆腐屋とうふやのチビ公はいまたんぼのあぜを伝ってつぎの町へ急ぎつつある。さわやかな春の朝日が森をはなれて黄金こがねの光の雨を緑の麦畑に、黄色な菜畑に、げんげさくくれないの田に降らす、あぜの草 続きを読む…

ア、秋

ア、秋 太宰治 本職の詩人ともなれば、いつどんな注文があるか、わからないから、常に詩材の準備をして置くのである。 「秋について」という注文が来れば、よし来た、と「ア」の部の引き出しを開いて、愛、青、赤、アキ、いろいろのノ 続きを読む…